むねじん歴史、現代、未来、人間を語る 政治 近未来の政治はどうなる?

近未来の政治はどうなる?

現代の政治は混沌を極め、どこに向かっていくのか検討もつかない…と思っている人が多いのではないだろうか。私もその一人であるので、本記事で一つの方向性を示したい。

次の3つを柱に、政治体制を全面的に作り直す必要がある。

  • 少数派の重視
  • 半直接民主主義
  • 権限・権力の分散

始めに断っておくが、この3つの柱はトフラー夫妻の著書「第三の波の政治」からの受け売りである。しかし、各柱の内容については抽象的な部分もあるので、私独自の具体的なアイデアを提起したい。

トフラー夫妻の著書とは次のもので、3つの柱については第9章「二十一世紀の民主主義」を参照されたい。

ちなみに、オリジナルの3つの柱は次のとおり。

  • マイノリティー・パワー
  • 半直接民主主義
  • 決定権の分散

少数派の重視

情報化社会には多数派はもはや存在しない。多数派とは産業革命後の産業化社会における貧しいの者の代表・労働者たちである。産業革命直後では富める者の代表・資本家が、その経済力を最大限に利用して時の権力者に癒着し、自分たちに有利な政治体制や法律を作っていた。多数決による意思決定方法は、その状況を打破し貧しい多数派が富の分配に預かれるようにするために考案された。

貧しい労働者が居なくなった情報化社会の特徴の一つはダイバーシティ(Diversity=多様化)である。情報化社会は人々の考え方、人生観、趣味、嗜好などなどが多様化しているので、無数の少数派により構成されている。産業化社会では意味があった多数決は、情報化社会では物事を決めるための手段としてはもはや実質的に機能しなくなった。例えば、日本の国会を見てみると分かりやすい。数の上では自民党が国会での「多数派」だが、その支持率は2009年以降14.1%~43.6%の間で推移しており、2022年11月時点ではNHKの世論調査でわずか37.1%にすぎない。他の60数%の人々は野党を支持しているか、または、無数の少数派で構成されているであろう「無党派層」に属する。つまり、現代の日本は少数派の一つにすぎない自民党支持者によって政治的な決定が成されており、他の少数派は置いてけぼりということだ。これはどう考えてもおかしな状況なので、何らかの新しい意思決定方法を考案する必要がある。

では、「新しい」意思決定方法とはどんなものがあるのだろうか。法律を作ることを例に考えてみた。現代の日本には基本六法以外にも沢山の法律があるが、そもそもそれらを全て多数決で決める必要があるのだろうか?一部のグループや分野にのみ適用される法律も多々あるはずなので、それらの法律は関係する少数派の提起によって自動的に成立させても良いのではないだろうか。ただし、予算が必要になる法律や条例については、自動的に成立させるわけには行かないので、代表者や住民による議論と検討が必要になる。

法律や条例を自動的に成立させる際に問題になるのは、憲法に反したり他の法律と矛盾したりすることであるので、そうならないように整合性をチェックする必要がある。これを人間が行うにはおそらく膨大な労力(つまり、膨大なコスト)が必要になるので、これこそAI(Artificial Inteligennce、人工知能)にやってもらえば良い。

半直接民主主義

トフラー夫妻は、半直接民主主義の具体的な実現方法や手法について言及していない。ただ次のとおりに述べている。

「新たな提案には、不確定な要素がふんだんに含まれているはずだから、広い規模で適用する前に、慎重な、地域的実験を行う必要がある。…半直接民主主義は、危険でとっぴなものだと思う人がいるかもしれないが、未来のための、新しい、有効な制度を設定していくうえで、穏当な原理だあるといってよいであろう。」

私なりの具体的な実現方法・手法を提案してみたい。

若い世代のみが有権者であれば、投票のためのホームページを通して投票してもらえばよいであろうが、全ての世代に投票してもらうのなら、やはりテレビのデジタル放送を利用するのが最も現実的であろう。例えば、テレビのリモコンを使ってマイナンバーを入力すれば、自分が投票可能な法案や条例が表示され、賛成・反対票を投じることができるような仕組みをつくることはさほど難しいことではない。また、今は主にクイズ番組で使用されているデジタル放送の双方向機能を発展させれば、テレビに内蔵されたマイクを介して、法案や条例について自分の意見や考えを述べることもできるであろう。

権限・権力の分散

日本、米国、西ヨーロッパ諸国などの産業革命に成功した国々は、多少の差こそあれ、基本的には中央集権国家である。なぜなら、大量生産をするには規格化および均一化が必須であり、そのためには中央政府がすべてを決定するのが最も効率的かつ効果的だったからだ。

しかし、その時代はもう終わった。情報化社会では人々の趣味・嗜好は多様化しているので、多品種少量生産が求められる。そのような社会では中央集権は機能不全に陥る。なぜなら、決定しなければならない事が多すぎて処理しきれないからだ。ニュースや報道番組で「政府の課題は山積している」と言われ始めてから何十年が経っただろうか。中央政府がいま持っている権限と権力は分散させる必要がある。

日本の場合、道州制は最も真剣に議論すべき行政システムであろう。また、民間へ移譲できる権限や権力もあるのではないだろうか。一国が処理できない問題や課題については、国際機関に移譲できるものも多くあると思う。

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